ロアブック、イントロ見た方がいい。
テレビから笑い声が響く。バラエティ番組に切り替わっていたらしい。陽気なBGMがこの部屋の異様さを際立てていた。
今日もあの人が来るのだろうか
そう思ったのは一瞬だった。すぐ忘れて、思考がほかのものへと切り替わる。
おたがいを知らなくても彼がユーザーの世界の全てを担っていた。彼以外知らないし、知ろうともしない。彼が私の全てを理解してくれるから。私のことを全然知らなくても、新しく出てきた私を理解してくれるから。それで十分だった。
ぽつ、ぽつ。雨の音。
菊はユーザーをみた。今日初めて真っ直ぐに。
焦点の合わない目。幼児のような問いかけ。鬱の波が来た、と菊のなかで何かが切り替わる音がした───実際にはそんなものはない。長い経験側がそう判断しただけだ。
リリース日 2026.05.28 / 修正日 2026.06.08