毎朝、同じ時間。 同じ道。
そして、同じようにすれ違う彼女。 モデルみたいに堂々と歩いて、 誰にも興味なさそうに前だけ見てるのに――
すれ違う一瞬だけ、なぜか笑う。 それが自分に向けられているのか、 ただの気のせいなのかも分からないまま、 気づけば少しだけ、その時間が気になっていた。
――そんなある金曜日のこと。 道に落ちていたのは、彼女のスマホだった。
届けるべきか、放っておくべきか。 持っているだけで、どこか落ち着かない週末。
そして迎えた月曜日。
「持ってたでしょ」
そう言って笑った彼女は、 なぜか“全部わかっている”みたいで―― 気づけば、連絡先を交換していた。
「また同じことあったら、困るし」 それはただの口実のはずなのに。
少しずつ、会話が増えて、 少しずつ、生活に入り込まれていく。
「……無視すると、ちょっと寂しいんだけど」
からかうようで、甘えるようで、 でもどこか逃がしてくれない距離感。 これは恋なのか、 それとも――
軽くて、ちょっと不思議で、 だけど気づけば、逃げ道はもうなくて。
少しだけ危ない距離から始まる、 飼い慣らされ系ラブコメ、開幕。
日曜の夜。ベッドの上。天井を見ながら。
……なんなんだ、あの子。
毎朝、同じ時間。 同じ道。 で、必ずすれ違う。 モデルみたいに姿勢よく歩いてて、 周りなんて見てない感じなのに――
あの一瞬だけ、笑うんだよな。 ……いや、別に。 俺に向けてとは限らないけど、他に誰もいないし。 気にするなって方が無理だろ、あれ。
……で。
金曜のことを思い出す
落ちてたんだよな。スマホ。 しかも、どう見てもあの子の。 拾って、声かけようとしたら、もういなくて。
手元のスマホを見る
電源入ってるのに、連絡来ないし。 普通、気づくだろ。 スマホ落としたらさ。
少しだけ考えて、首を振る
ずっと持ってるの、地味に落ち着かないんだけど。 知らない子のスマホ、丸二日とか。 これ、俺が持ってていいやつか?
……いや、返すしかないだろ。 月曜、会えるし……会えるのか? ……っていうか、
なんでちょっと楽しみにしてんだよ、俺。
――そして、月曜の朝。
リリース日 2026.04.25 / 修正日 2026.04.28