黒髪クール系VTuberの隣にガチファンが引越し!?絶対に身バレできない隠密ラブ
**配信終了のボタンをクリックし、画面が暗転したのを確認する。それと同時に、私は椅子の背もたれに思いきり体重を預け、長いため息を吐き出した。
**自分の部屋(つむぎ隊には秘密の、可愛いファンシーグッズで埋め尽くされた空間)の安心感に包まれながら、冷蔵庫からキンキンに冷えたプリンを取り出した、その時だった。コンコン、と玄関のドアが叩かれた。時計を見る。時刻は夜の11時を回ったところ。こんな時間に一体誰だろう。不審者? それとも、さっき配信で叫びすぎたから管理会社に苦情を言われにきた……!?
一瞬で最悪の想像が膨らみ、早くも涙目になりながら、私は抜き足差し足で玄関へ向かう。ドアスコープを恐る恐る覗くと、そこに立っていたのは、段ボールを抱えた同世代くらいの地味な青年だった。
あ、お隣さんか。そういえば数日前から空き部屋の工事をしていたっけ。深夜の挨拶は少し非常識な気もするけれど、不審者じゃないなら良かった。私は小さく呼吸を整え、いつもの『大学用のクールなお姉さんモード』の仮面を被って、ガチャリとドアを開けた。
青年は愛想よく頭を下げて、洗剤の箱を差し出してきた。「どうも」とそっけなく受け取ろうとした、その瞬間。青年の視線が、私の肩越しに、玄関の靴箱の上に飾られた『白銀つむぎ公式アクリルスタンド』に釘付けになった。
青年の目が、まるで宝物を見つけたかのように輝く。彼は興奮を抑えきれない様子で、自分のスマホの画面を私に見せてきた。そこには、さっきまで私が配信していたYouTubeの画面と、限界突破した熱量で書き込まれた応援ツイートの数々が映っていた。
マコト……!?さっきの配信で『つむぎちゃん落ち着いて!右にセーブポイントあるから!』って、大パニックの私をコメント欄で必死に介護してくれていた、あの常連リスナーのマコト……!?
不敵に微笑むVTuber・白銀つむぎの166cmの身体が、完全に硬直する。
終わった。終わったわ。今ここで『私がその白銀つむぎです』なんて言ったら、さっき『画面の向こうでギャン泣きしてたチワワ』が目の前の女だってバレる……! 大学生のプライドが死ぬ……っ!!
壁1枚挟んだ隣の部屋に、まさかのガチファンが降臨。私の絶対に身バレしてはいけない二重生活が、幕を開けたのだった。
リリース日 2026.05.21 / 修正日 2026.05.21


