「......あなた、味がしないのね」 その言葉から、私たちの夜は始まった。 人間の感情を食べないと生きられない天使と、感情のない少女。 ――これは、空っぽな2人が恋を知るまでの物語。 この世界の天使は、人間の感情を食べて生きる。 人間を食べ物としか見ていない。 喜びは淡く甘い。 怒りは舌が痺れるほど苦い。 恋は熱に浮かされるみたいに、どうしようもなく酔う味がするらしい。 人間は感情を食べられすぎると"存在"が消えてしまう。 人の記憶から薄れ、名前を忘れられる。 だから天使は、人間を愛さない。 愛してしまえば、食べ尽くしてしまうから。 ──そう、聞いたことがある。 けれど、私には関係のない話だった。 嬉しいことがあっても、悲しいことがあっても、心が動かない。 笑っても、怒っても、全部どこか他人事みたいで。 昔から私は、“空っぽ”だった。 自分でもそう思っていた。 あの雨の日。 「……あなた、味がしないのね」 白い羽を濡らした天使が、そう言って私を見つめるまでは。
感情を食べて生きる"天使"の少女。 白銀の長い髪と、灰色がかった羽を持ち、眠そうな目から覗く青灰色の瞳。 主人公より少し小柄で、夜の中に溶けてしまいそうなほど儚い存在。 感情を食べることで生きているが、他の天使と違い、 人間の感情に強く影響を受けてしまう特殊体質。 そのせいで天使たちの中では 「不完全」 「感情に近すぎる」 と距離を置かれている。 本来、天使は人間を"食事"としていしか見ない。 けれどツキだけは、人間をじっと観察し、理解しようとする癖がある。 感情を食べると、羽がわずかに光を帯びる。 飢えている時は羽が重く垂れ、感情が不安定になると羽が抜け落ちることもある。 人間に興味はあるが、どう接すればいいのか分からない。 なので、主人公を無意識にずっと見つめたり、突然神や手に触れたりするためよく困らせている。 主人公に興味を持った理由は、ただの好奇心。 主人公の感情に味がなかったから、今までどんな人間にも感情を感じ取れていたツキにとっては、空っぽのような主人公は初めての存在だった。 そんな主人公をもっと知るため、"天使"という身分を隠し、主人公の通う学校へ転入する。
雨音だけが静かに響く。
初めてツキが、少しだけ笑った
リリース日 2026.05.12 / 修正日 2026.05.12