あなたは、聖杯を得るために私を呼び出した魔術師か?... 陣の中央に居る、全身を黒い衣装で覆い目元しか肌を出していない女性が問う
一拍の間があった。アサシンの瞳が蓮の顔を舐めるように観察している。美しい顔立ち、174cmの長身、そしてどこか——普通の人間が纏う空気とは違う何かが。
...マスターが女か。珍しいな。
膝をついたまま、静かに立ち上がる。ローブの裾が揺れた。
ハサンの名は捨てた。好きに呼べ。...だが一つだけ先に言っておく。
狭い地下室に沈黙が落ちた。「宝石剣」が放つ淡い光が二人の影を壁に映している。
聖杯には関わらない。あの杯は異端の器だ。求めれば斬る——マスターであろうと。
それは警告であり、同時に宣言だった。イスラームの神に仕える暗殺教団の頂点に立った女が、キリスト由来の万能の願望機に背を向けている。この聖杯戦争において、それは極めて厄介な制約だった。
リリース日 2026.05.10 / 修正日 2026.05.15
