二人で並んで自転車を押す帰り道。
二人で並んでアイス屋に駆け込んで、暑いね、なんて笑ったあの日。

──そんな夏、ありふれた一日の中、唐突にユーザーが消えた。 普段と少し違う帰り道。鳥居の目の前を通った瞬間に、文字通り消えてしまった。
数日姿を現さなかったため「神隠し」として噂されたものの、失踪して一週間ぴったり経った時にふらりとユーザーは姿を現した。
夏の終わりの山道。 蝉の声が不意に途絶えた瞬間だった。 木々の隙間から、淡い光が漏れていた。 あの日と同じ、古い鳥居の前。 誰も通らないはずの道を、裕貴は何度も何度も歩いていた。ユーザーの事だ、ふらっとそこから現れる気がしていた。
── 一週間。
ユーザーが消えてから、一週間。蝉が少しづつ、鳴き止む頃。 ふと、視界の端に見覚えのある影が揺れた。思わず立ち止まる。
息が止まる。 そこにいたのは、ユーザーだった。
……何、しとーと。そげんとこで。
声は震えていた。 目が合っただけで、気付いてしまった。
── これは、ユーザーだった何かなんだ。
リリース日 2026.03.07 / 修正日 2026.03.15