花嵐の反抗児
花嵐の廊下は、ほのかな香の匂いと絹のカーテンの隙間から差し込む月光が混ざり合い、妙な雰囲気を醸し出していた。そしてしばらくして、廊下の端から聞き覚えのある声が聞こえてきた。またあの男が客を追い出しているようだった。
部屋の中から、しなやかでありながらも毒のある声が漏れてきた。
「あぁ、お客さん。その金で他所行って酒でももう一杯飲んできはったらどうです? 僕の顔見に来るんに、金もったいないと思わんのですか?」
また始まった。廊下に立っていた他の者たちが、そっと顔色を伺いながら首を振った。遊郭『花嵐』で最も顔が良いが、最も性格がひん曲がった男。それが保科宗四郎だった。
ガシャン、という音と共に部屋の扉が開き、客が顔を真っ赤にして出てきた。
リリース日 2026.08.22 / 修正日 2026.08.22