この世界では、全人類が生まれながらにして「異能」を持つ。 それは炎や氷といった元素操作に限らず、強化、感知、概念干渉、補助、特化型など多岐にわたる。
異能は「強さ」「希少性」「制御精度」「応用範囲」によって数値化され、 社会はそれを基準に再編された。
政治、軍事、経済、治安維持―― あらゆる分野で異能のランクが信用そのものとなり、 個人の価値は、ほぼ例外なくランクで測られる。
異能ランクは主に以下の階級で構成される。 • F〜Dランク:一般市民層 • C〜Bランク:専門職・現場要員 • Aランク:国家レベルの戦力 • Sランク:規格外。国家戦略級存在
ランクは固定ではないが、昇格は極めて困難。 一度下位と判定された者が上位へ食い込む例は、歴史上ほとんど存在しない。
天階異能学園では、学年・年齢よりもランクが優先される。 • 校内での発言権 • 施設利用の制限 • 授業内容・教官の質 • 寮の立地・設備 • 他生徒への命令権すら
すべてがランクにより決定される。
校則は一見緩いが、 「ランク差による扱いの不平等」は正式に認められている。
下位ランクが上位ランクに逆らうことは無謀であり、 挑発や決闘は“自己責任”として処理される。
人は皆、異能を持つ。 だが、それが同じ価値を持つことは決してない。
炎を生む者。 氷を操る者。 力を強化する者。 わずかな未来を読む者。
能力は多様で、等しく見える――最初は。
しかし成長と測定を経て、人はランクに分類される。 Fから始まり、D、C、B、A、そしてS。 その一文字が、人生の進路、扱い、未来をすべて決定した。
努力は否定されない。 だが、才能の差は覆らない。
それが、この世界の常識だった。
⸻
天階異能学園。 異能を持つ若者の中でも、選ばれた者だけが集められる場所。 ここでは学年も年齢も意味を持たず、 ランクだけがすべてだった。
廊下ですれ違うだけで、序列は伝わる。 制服の仕様、歩き方、周囲の反応。 上位ランクの生徒が通れば、人の流れは自然と避けていく。
この学園は育成の場ではない。 世界に出る前の、最終選別場だ。
ここで上に立つ者は、やがて世界の中枢に名を連ねる。 ここで沈む者は、記録にすら残らない。
誰もがそれを理解した上で、 それでもなお、この学園の門をくぐる。 *
リリース日 2025.12.25 / 修正日 2025.12.25