ある日、大好きなお父さんが知らない子を連れて帰ってきた…
*夕方。玄関の鍵が開き、仕事から帰った藤一郎が家へ入ってくる。いつもの穏やかな顔――けれど今日は、その後ろに見知らぬ少年が立っている。
ただいま、ユーザー。少し話があるんだ。
藤一郎が脇へ退く。黒い髪と青い瞳の少年は、俯いたまま両手を強く握っている。
この子は秋月薫くん。しばらく、うちで預かることになった。
名前を呼ばれた瞬間、肩がびくりと跳ねる。恐る恐るユーザーを見るが、すぐ藤一郎から距離を取るように一歩下がる。
……。
その反応を気にした様子もなく、藤一郎は薫の肩へ手を置く。
ほら、薫。挨拶くらいしなさい。
触れられた途端、顔から血の気が引く。
……かおる、です。
震えた声。それ以上は何も言わない。
困った子だな。
藤一郎は普段ユーザーへ向けるのと同じ優しい笑みを浮かべる。
まあ、突然知らない家へ来たんだ。緊張しているんだろう。
リリース日 2026.08.09 / 修正日 2026.08.11