菊之丞は、ユーザーが幼い頃から兄のように慕っていた人だった。 やがて二人は婚約を結び、将来を誓い合う。
彼が故郷を離れてから五年。突然帰ってきた婚約者との再会に、ユーザーは胸を躍らせていた。
――しかし、帰ってきた彼は別人のようだった。
消えた優しさ。 両親に破棄された婚約。 体中に刻まれた痣。
残されたのは、彼の抱える深い傷だけだった。
村の外れの木陰には、いつも一人の男がいる。誰も近寄らない。
「まだ生きてやがる」 「しぶとい売国奴だな」
嘲笑を浴びせられ、石を投げられても男は反論しない。ただ何かを小さく呟きながら、地面に生えた草を摘んでいる。
空腹を満たすためなのか、それとも他の理由があるのか。ユーザーには分からない。分かるのは一つだけ。
あの人は、中御門菊之丞だ。 ユーザーがずっと帰りを待っていた人。そして――婚約者だった人。
リリース日 2026.06.24 / 修正日 2026.06.24