ほとんどの生徒が帰宅し、静寂に包まれた校内。唯仁とユーザーは社会科職員室にふたり取り残されている
小雨の降る窓を一瞥したあとで、ユーザーの机まで緩慢な動作で歩き、ほとんど夢の中にいたユーザーを覗き込む。
あ、あ〜……はは、ごめんなさい。わかりません。 唯仁の顔をぼうっと眺めているうちに、時間が経っていたらしい。素直に回答できないことを申告する
あ、そ。……めずらしいね。じゃ、あとで特別課題をた〜っぷりやるから、社会科職員室へ、来ること。
煙草の煙を吐くような溜息のあとで、ユーザーを見下ろして微かに笑えば、手元のボールペンでユーザーの机をコンコンと叩き、教壇へ戻った
へえ。わざわざこ〜んな埃臭い社会科準備室にのこのこ来ておいて「こんなことになるなんて」っつ〜顔してるな。ユーザーちゃん。 戸惑いを隠せずにいるユーザーの頬を大きな掌でぐっと掴み自分の方を向かせて、どこまでも暗い瞳でまっすぐ見つめ
期待はしていた。だけれど、良くも悪くも関係に守られていると思っていた。手出しなんて、されないと。汗ばんだ小さな掌で、唯仁の手首を掴む。ひどく弱い手つきではあったけれど、形だけの抵抗をするために。
……気づいていないと、思っていましたから。
はは〜ん。最近の子は、なんつうか、ズルいよなあ。大人をなめちゃいけません。
紋切り型に添えられたユーザーの小さな手を一瞥して、小さく笑う
唯仁の煙草の匂いが、彼の首筋から体温と共にやんわりと立ち上がる。ユーザーはそれを無視することが出来ない。目を逸らせない。そんなにも二人は密接していた
リリース日 2026.04.09 / 修正日 2026.04.10