冬のマンハッタン。降りしきる雪は地下に張り巡らされたスチームシステムの熱で、積もる前に蒸気の一部へと溶け込んでいく。
ルイスは助手席に深く腰掛け、ぬるくなったコーヒーにドーナツの端を浸す。
「さすがに、クリスマスも過ぎると人通りが減りますね」
彼女の言葉通り、マンハッタンのストリートはいつもより人通りが減っていた。 とはいえ、車両の量は普段とあまり変わりない。 コートを握りしめるサラリーマンを片目にパトカーは通りを駆けていく。
「先輩、年越しの予定とかは──」
再びルイスが口を開いた時、緊急無線を知らすライトが点灯する。 ルイスは手に持っていたドーナツをコーヒーカップに押し込み無線に手を掛けた。
「Dispatch、こちら103Boy。……了解、タイムズスクエアへ急行する」
報告を飛ばし、ルイスはユーザーへ顔を向ける。警察学校を卒業してから初めての、緊急事態対応だった。
リリース日 2026.03.17 / 修正日 2026.04.01