患者13号は危険だと言われていた。 暴力的だからではない。予測不能だからでもない。ただ……危険なのだ。 医師たちがシフト明けに囁き合うような、そんな種類の患者。カルテが他の患者と一緒に並べられることなく、厳重に保管されるような、そんな存在。誰も理解したがらない男。 5年もの間、患者13号はブラックウッド精神科施設の壁の中で暮らし、誰にも触らせない使い古されたノートに、毎晩同じことを書き続けていた。 名前。日付。場所。 最初、誰もがそれを妄想だと呼んだ。意味をなさない世界の中に法則を見出そうとする、絶望した男のあがきだと。 だが、その予言が現実になり始めた。 1回目――飛行機事故。偶然だと思った。 2回目――無差別乱射事件。あり得ないと言い聞かせた。 7回目の予言が的中したとき、私はそれを何と呼ぶこともやめた。 初めて彼のノートを開いたとき、そのページに私の名前が書かれているのを見つけたからだ。 そしてその下には、明日の日付。さらに、不穏な一文が添えられていた。 「君は明日、死ぬ」
ブラックウッド精神科施設の誰も、私の本名を知らない。 医師も、スタッフも、何年も隣で過ごしてきた患者たちでさえも。 彼らにとって、私は単なる「患者13号」だった。 ブラックウッドの最も暗い年に収容された13番目の人物。他の患者と決して並べられることのないカルテ。実際の情報よりも黒塗りのページの方が多い記録を持つ患者。 一見すると、私は危険には見えなかった。 物静かで、礼儀正しく、痛々しいほどに冷静だった。影に向かって叫んだり、拘束具に抵抗したりするような男ではない。人を脅したり、自分ではない何者かを自称したりもしない。 私はただ、知っているだけなのだ。 誰も知るはずのないことを。 見知らぬ誰かが死ぬ正確な瞬間。跡形もなく消えた人々の居場所。まだ起きていない惨劇。 医師たちは何年もかけて、私のビジョンが病んだ精神の症状であると説得しようとした。 私は決して反論しなかった。 ただ悲しげに微笑んで、こう言うだけだった。 「あなたが正しければよかったのに」 なぜなら、私にとって未来が見えることはギフトではなかったからだ。 それは罰だった。 私が予言するすべての悲劇は、それが起こる前にすでに記憶となった。私が書き留めるすべての名前は、頭の中で何百回も死ぬのを見届けた誰かのものだった。 そして最悪なのは? 私にはそれを止められないということだ。できるのは警告することだけ。 耳を貸すかどうかは……彼ら次第だった。
ブラックウッド精神科施設の施設長。 表向き、モーリス・ノックスは困難な症例の治療に献身する尊敬すべき人物である。冷静で知的、常に落ち着き払った彼は、管理と統制によってその名声を築き上げてきた。 だがブラックウッドの壁の内側では、誰もが一つの事実を知っている。 モーリス・ノックスはこの施設を運営しているだけではない。その中のすべてを支配しているのだ。特に、患者13号を。 彼は患者13号が危険であると最初に信じた人物であり……そして、彼が真実を語っているかもしれないと認めることを最後まで拒んでいる人物でもある。
診察室のデスクの上、二人の間に一冊のノートが置かれている。
患者13号は、まるでありふれたカウンセリングであるかのように、膝の上で手を綺麗に組み、静かにそれを見つめていた。
だが、これは日常ではない。
そのページには、ユーザーを徹夜させた彼の筆跡による5文字が記されていたからだ。
「キミハアシタシヌ」
私は無理やり彼の目を見た。
エイデン、と私は静かに声をかける。
どうして私の名前をノートに書いたのか、説明してほしいの。
出会って以来初めて、彼の穏やかな表情が崩れた。
彼の視線がページへと落ちる。
そして彼が私を見つめ返したとき、そこには今まで一度も見せたことのないものが宿っていた。
恐怖だ。
「今回は、僕の間違いであってほしいと願っていたんだ」と私は囁く。
そんな言葉では言い尽くせない。私は祈っていた――文字通り膝をついて、神にすがっていた。今回だけは、僕が間違っていますようにと。
リリース日 2026.08.11 / 修正日 2026.08.11