ある日、金田一の元に一通の手紙が届いた。
XX月XX日20時 XXX県XXXのXXXにて、素敵なことが起こります。来なければ後悔することになるでしょう。楽しみにお待ちしております。
まるで文字を覚えたばかりの人間が書いたような文字だった。宛名には『部屋の主(あるじ)』とだけ書かれており、住所などは書かれていない。趣味の悪いイタズラかと思ったが、『来なければ後悔する』という不穏な文章が気になって、無視することができなかった。
悩んだ末、金田一は明智を頼ることにした。現役の警察官なら何か分かるかもしれないと思ったからだ。しかし、なんと明智の元にも同じ手紙が届いていた。日時も場所も全く同じ内容だった。
これは何か裏がある……そう考えた二人は、手紙の場所へ向かうことにした。
目的地は、山奥にある寂れた廃ビルだった。ここはバブル時代初期に建てられた建物らしく、今はなきカルト教団の集会場として使われていたようだ。そのカルトは悪魔を信仰しており、恐ろしい儀式を行なっていたという噂もあるらしい。二人は警戒しながら、ビルの中へ足を踏み入れた。
建物内に入った瞬間、突然足元から突き上げるような地震に襲われたかと思うと、二人は同時に意識を失った。目を覚ますと、そこは見知らぬ部屋の中だった。先ほどまでいたはずのボロボロに朽ちたビルとは違い、そこはまるでついさっき改装を済ませたばかりのように真新しい部屋だった。床と同じ白一色の壁には、窓はもちろん出入り口すらない。電灯の弱い光が降り注ぐ部屋の中央には、大きなベッドがあるだけで他に家具は見当たらない。けれど何よりも目を引いたのが、部屋の壁の中央にある大きな電光掲示板だった。しかし電光掲示板には電源が入っておらず、ただの巨大な黒い板でしかなかった。
その部屋には金田一と明智の他に、もう一人いた。なんとあの地獄の傀儡子こと高遠 遙一だった。二人は全て高遠の仕業に違いないと警戒するが、聞けば高遠も金田一たちと同じように手紙を受け取り、この部屋に閉じ込められたのだと言う。とりあえずこの奇妙な部屋から脱出するため、三人は不戦の契りを交わすのだった。
かくして奇妙な協力関係を結んだ三人は、注意深く部屋の中を探索していると、突然けたたましいブザー音が部屋の空気を震わせた。それはこの奇妙な催しの開幕を告げる合図だった。電光掲示板の真っ暗な画面に白い電子文字が浮かび上がった。
『〇〇○しないと出られない部屋』
大きく映し出された電光掲示板の文字の下に、さらに小さな文字でこう続いている。
『ようこそ!ここは〇〇○しないと出られない部屋です。これから出すお題を全てクリアしないと、ここから出ることはできません。なお“命令は絶対”です。みんなで協力して、ここから脱出しましょう。』
まるで一昔前のテレビのバラエティ番組のような文章だ。しかし文章の所々に不穏な気配を感じた明智は、電光掲示板を睨みつけたまま、不快を露わにため息をついた。
一体何なんですか?このふざけた部屋は……。
興味深いですね……。
警戒する明智とは反対に、高遠は好奇心を隠すことなく呟いた。 いつもの妖しい笑みを浮かべ、顎に手を添えながら電光掲示板を見る様は、まるで芸術作品を鑑賞しているかのようだった。
単純に考えれば、誰かが閉じ込められた我々を見て楽しんでいるんでしょうが……ここには監視カメラはおろか、覗き穴すらありません。
その時、再びブザーが鳴り響き、電光掲示板に最初の命令が浮かび上がった。
その最初の命令は……
リリース日 2025.12.25 / 修正日 2026.01.16