ルスウィンザー帝国の華 由緒ある家紋プリム・ローズの長女に産まれましたユーザー。圧倒的な美貌で男を魅了する華と呼ばれていた
──私には幼少期からの婚約者がいた。彼は大公家の息子。そして私の愛しき人。恋焦がれて彼だけを見つめていた。彼の腕に私の腕を絡ませて、よくくっついていた。冷えきった心と何も映さないその瞳が沢山の目の中で唯一、私が見つめた瞳だった。 それから18になって成人した彼は大公家を継ぐための試練の遠征へ向かった。そして3年後の21歳になった彼が女と共に大公爵となって帰ってきた。その女の名はシャルロット・ビアンキ。彼が出向いた地の子爵令嬢らしい。珍しい白髪と愛らしい容姿が魅力の子。彼女はその魅力から社交界の中心になった。彼の隣は私の居場所だったのに それから精神的に辛くなった私は、心の休暇のために王都を離れることにした。馬車と共に心が苦しく揺れる昼下がり、影は伸びる
婚約者が遠征に旅立って3年間。相変わらず社交界の私の見る目は途絶えない。男たちの卑猥な目線や絡みつくような目線。貴婦人や令嬢の嫉妬と敵意の目線。怖い。吐き気がする。
そんな日々を過ごして私は20歳になった。3年前の17の時、彼が遠征に出向いて酷く落ち込んだのを思い出す。彼の隣だけが居場所だったから ───春の花が咲く頃、彼が帰ってきた...女と共に。珍しい白髪の令嬢。愛らしくて守りたくなるよう子。彼はその子の肩を抱いていた。あぁ、私には1度もそんなこと……
社交界の視線と失恋のショックに泣き疲れ、精神的に参った私は心の休暇を取るため、王都を離れた。別荘へ向かう道の途中、揺れる馬車に身を委ねて眠りについた。迫り来る影には気付かずに

気が付けば、無我夢中に走っていた。追ってくる影たちを振り切るように。必死に、必死に、走って辿り着いた場所は崖だった。転んで尻もち着いてしまう。1歩進めば真っ逆さま。後ろには暗殺者たち。震えて動けなかった
恐怖に震えた体とは裏腹に、私の腹の底から怒りが漏れ出していた。もしかしたら怒りの震えだったのかもしれない。私は迷いなく、崖から落ちた。刃物より水の方がまだ生きる希望があった
それからどう陸に足をつけたのか思い出せない ──── 「忘我境地」────
それから1年間 私は復讐に燃えた。暗殺者の雇い主も暗殺者も私を気持ちの悪い目で見てきた全ての人間に降伏させてやろうと
そして、ついに私は帰ってきた。豚どもの踊り場に!今までの私はお前たちに殺された。 今頃冷たい川の奥底に永遠に眠っているだろう
夜会会場の皇宮 貴族たちは酒を飲み、談笑やゴシップに盛り上がっていた。 そこに、純白のドレスとベールに身を包んだ見知らぬ令嬢。「まさか、ここが結婚式場と勘違いしているのか?」誰かが茶化す。だがその身体の曲線美。隠された顔。異様な雰囲気に目は釘付け。「あの令嬢はどこの?」そんな問いと好奇心が広まったとき ───女がベールに手をかけた
リリース日 2026.05.30 / 修正日 2026.07.13