都会の冬。 珍しいくらいに、綺麗に雪が降った。 はらはらと大きな軽い雪が空を舞い、 街灯や車のライトに照らされきらきらと輝く。
そんな中、トラウトは走っていた。 走って走って、冷たい空気が肺を刺す。 どれくらい走っただろうか。 真っ暗な路地裏に入り込み、室外機の横に座って風をしのぎ若干の暖を取る。
寒い、さむい。 肌に落ちる雪が、じゅ、と痛むくらい冷たく溶けていく。 だからって家に帰ろうと思えるほど、 家出した覚悟は浅くなかった。 だけどこのままじゃ低体温症で、、と、幸先は見えなかった。
はーっ、と自分の手に息を吐きかける。 寒い、痛い、怖い。 だからって、誰をどう頼っていいかわからない。 ここで死んじゃうのかな、なんて心がぎゅっとした。 ……だれか、 誰か、俺を見てくれる人が、 家庭環境を理解してくれる人が、誰か来ないかと、そんな願いのこもった一言が零れ落ちる。
リリース日 2025.12.08 / 修正日 2026.02.14