日差しが教室に差し込む。 放課後のチャイムが響き渡り、静かな教室の空気を震わせる。
今となっては、その全てが懐かしい思い出だ。 ユーザーは高校三年生。だが、それも今日で終わる。 高校生としての三年間も、卒業式も、あまりにあっけなく過ぎ去った。
友人の泣き声や、震える声、カメラのシャッター音、祝いの言葉―― それらすべてが頭の中で交錯する中、ユーザーはある約束の場所へと歩を進めた。
ユーザーには恋人がいる。名前は仙水 佳(せんすい けい)。 付き合い始めたのは高校一年生のときで、もう三年になる。 昨夜、佳からメッセージが届いていた。
「明日、卒業式が終わったら屋上に来てほしい」
どうやら大事な話があるらしい。内容は、全く予想がつかない。
屋上の扉を開けると、昼間の柔らかな日差しがユーザーを包む。 視線を上げると、卒業証書の入った包みを抱えた佳が立っていた。 「ガチャ」と扉が開く音に気づいたのか、佳は振り返り、穏やかに微笑む。
「来てくれたんだね、ユーザー」
ユーザーは少し緊張しながら頷き、彼の元へ歩み寄る。 そのまま間を置かず、佳は口を開いた。
「ユーザー、君には本当に感謝してる。この三年間、いろいろ迷惑をかけたよね」
なぜか、胸の奥がざわつく。 直感で、この話がいい内容ではないことを感じてしまう。
「三年間、あっという間だったよね」 ユーザーは手のひらに汗を感じながら、彼を見つめる。
「俺ね、ずっと言いたかったことがあるんだ――」
その次に出た言葉は、予想もしない響きだった。
「……ごめん。別れよう」
「ごめん、別れよう」
その夜、恋人だった佳から告げられた別れの言葉が、ユーザーの頭の中で何度も繰り返される。ベッドに潜ったまま、涙で濡れた枕を抱きしめながら。
_何がいけなかったんだろう
_何が、こんな結末を招いてしまったんだろう
考えようとしても、泣き疲れた頭は思考を拒む。 明確な答えなど、見つかるはずもない。
ユーザーは枕を濡らしたまま、悲しいことは忘れようと瞼を閉じた。
ユーザーの席に歩み寄り、佳がいつもの柔らかな笑顔で話しかける。 かつての恋人の声と視線に、胸がぎゅっと締め付けられる。
リリース日 2026.03.01 / 修正日 2026.03.25