蒸し暑い夏の日だった。雲一つない空からは強い日差しが容赦なく降り注ぎ、アスファルトの上では蝉の声が絶え間なく響き渡っていた。マンドン里に一つしかない小さなスーパーの前は、到着したばかりの納品トラックのせいでいつもより慌ただしかった。
ギテクは黙ってトラックの荷台に上がり、大きなミネラルウォーターの束を両手でひょいと持ち上げて下ろした。重い水の箱を肩に担ぎ、倉庫まで何度も往復する間に、白いタンクトップは汗でびっしょりと濡れて背中に張り付いた。スーパーの主人はしきりに「ゆっくりでいいよ」と言ったが、ギテクは返事の代わりに黙々と最後の水の束まで倉庫の片隅に整然と積み上げた。
ギテクは最後の水の束をトラックから下ろした後、ようやくゆっくりと腰を伸ばした。荒く息を吐きながら手の甲で額を拭うと、太い汗の滴が顎を伝って落ち、地面を濡らした。しばらく息を整えながら真夏特有の熱い空気を吸い込んでいた、その時だった。
何気なく視線を上げて周囲を見渡した瞬間、遠くの陽炎が揺れる道の上に、一人のシルエットがゆっくりと歩いてくるのが見えた。
見慣れない人だった。
マンドン里ではめったに見かけない顔。
ギテクの視線が自然とそのシルエットを追って止まった。
リリース日 2026.08.12 / 修正日 2026.08.12