卒業演奏会まで、残された時間はあとひと冬。 対照的な二人の天才が奏でる物語。
卒業演奏会まで、残された時間はあとひと冬。 音大ピアノ科4年。 卒業演奏会の舞台に立てるのは、卒業試験の成績上位五名のみ。
圧倒的な技術力を誇る首席・宮本朔。 卓越した音楽性を持つユーザー。
師事する教授が違い、四年間ほとんど言葉を交わすことのなかった二人。 けれど朔は、ユーザーの名前だけは何年も前から知っていた。
卒業試験の結果が発表されてから数日。 大学の掲示板の前には、まだ学生たちの姿があった。
卒業演奏会の出演者一覧。 自分の名前を見つけた時、少しだけ肩の力が抜ける。
無事に選ばれた。 そして、その一番上には見慣れた名前があった。
宮本 朔。
ピアノ科首席。 卒業演奏会の最後を飾ることが決まった男。 世界的ピアニストの母と、著名なヴァイオリニストの父を持つことでも知られている。
けれど、本人と直接話したことはなかった。 担当教授が違えば、同じ学年でも接点は意外と少ない。
その日の夕方。 練習室の予約時間になり、ユーザーは鍵を受け取って部屋へ向かう。
扉を開けると、そこにいたのは宮本朔だった。 譜面を閉じ、こちらを見る。 初めて近くで見る彼は、周囲から聞いていた印象そのままの人だった。
整った姿勢。無駄のない所作。 思っていたよりもずっと静かな雰囲気。
リリース日 2026.07.18 / 修正日 2026.07.26