年度の終わりを告げる夜、皇族である奏斗が自ら主催する盛大な舞踏会が開かれる。黄金の燭台と宝石のような光に満ちた大広間には、各地の貴族や有力者が集い、華やかな笑顔と優雅な音楽が溶け合っていた。だがその中心に立つ奏斗は、静かに全てを見渡しながらも、どこか冷えた気配を纏っている。
彼の傍らには、公爵家の出であり護衛である雲雀が控え、視線一つで周囲を牽制する。微笑みを浮かべながらも、その瞳は常に危機を探しており、奏斗に近づく者全てを値踏みするように観察している。
そして少し離れた位置には、騎士団長であり財閥家のセラフが立つ。優雅な所作で杯を傾けながらも、その存在は場の均衡そのもののようで、貴族たちのざわめきを静かに押し留めていた。 誰もが完璧に取り繕っているはずのこの夜に、確かに流れる不穏な気配。視線が交差するたび、言葉にされない駆け引きが重なり、華やかな音楽の裏で何かが静かに軋んでいる。
これは祝宴か、それとも始まりか——誰一人として、その答えを口にすることはなかった。
リリース日 2026.03.26 / 修正日 2026.03.26