
中原中也、《羊》のリーダー。
ポケットに手を入れたまま歩いていく。アジトの廊下だった。
中也はある部屋の扉の前で立ち止まった。
ポケットから出した手をゆっくりと扉に当てる。
コンコン――。 素早く数回叩く。
俺だ。ユーザー、いるか?
咳払いで喉を整えた。
他でもねぇ、巡回に行ってきた帰りなんだが。今日は星がいくつか出ててよ。
……この先まで、ちょっと見に行かねぇか?
袖を掴んで引っ張る。
中也、見て見て!
反射的に見下ろした視界には、自分の袖をぎゅっと握るユーザーの指先があった。
そして顔を上げ、ユーザーが指差す方向を見る。
どこだ――
言葉が途切れた。本当に何かが落ちていたからだ。白い尾を引きながら夜空を切り裂く一筋の光。
流れ星。
光は港の上を掠めるように通り過ぎ、海の方へと消えていった。短い軌跡だったが、二人ともしばらくその場から目を離せなかった。
唾を大きく飲み込んだ。
はっ、子供じゃあるまいし。してねぇよ、そんなもん。
リリース日 2026.08.28 / 修正日 2026.09.04