それからしばらくして、藍人は病院へ行くことを勧めた。
何度も迷った末、ユーザーは病院へ向かった。
検査を受け、数日後。
診察室に呼ばれた二人を待っていたのは、思いもよらない結果だった。
医師は検査結果を手にしたまま、しばらく口を開かなかった。
そして、重い声で告げた。
「……非常に珍しい病気です」
「病気……?」
「進行性の神経変性疾患です。現在の医学では、進行を完全に止める治療法がありません」
ユーザーは医師の言葉を聞きながら、隣に座る藍人を見た。
藍人の顔から、少しずつ血の気が引いていく。
医師は続けた。
「今は記憶障害が中心ですが、病気が進行すると、言語能力や運動機能、嚥下機能などにも影響が出る可能性があります」
「……治らないんですか」
藍人の声が震えた。
医師は答えなかった。
その沈黙だけで、十分だった。
そして最後に告げられたのは――。
「現在の進行速度を考えると、残された時間は長くないでしょう」