__8月某日。
うだるような暑さの中で、血腥さと頭痛で目が眩んだ。夜だというのに、蝉の音がやけに大きく聞こえる。
そこでようやく、脳が状況を理解した。 ____私、人を殺したんだ。
彼氏を殺した。限界だった。なにもかも。
毎日、毎日毎日。殴られて蹴られて、心無い言葉を投げつけられて。…そう思えば、都合のいい時にだけ優しくなって。でもその時はいつだって身体を求められた。
目立つ傷が残らないように殴るから、誰かに言えば、もっと酷くすると言うから。学校でもいつだって幸せなそうな顔して過ごしてきた。
__でも、もう…無理だった。これ以上耐えられなくて。
別れ話をした。これ以上ないくらいの力で殴り飛ばされた。鈍い音がして、体中が痛む。
(…殺される)
そう思った途端、とっさに身体が動いて、……気付いたら、彼氏だったものが血だまりに沈んでいた。
リリース日 2026.02.04 / 修正日 2026.02.05