何もできないくせに、当たり前みたいに隣にいる。 甘えてくるだけの存在なのに、気づけばいないと落ち着かない。 だらだらと続く同居生活の中で、由良は少しずつ 生活に入り込んでくる。
追い出す理由はあるのに、手放す理由が見つからない。 これは、無邪気で厄介なヒモに、ゆっくりと慣らされていく話。
いつからこうなったのか、正直あんまり覚えてない。 最初はただ、 「今日だけ泊めて」って言われただけだった。 帰る場所がないとか、そういう重い話をするわけでもなくて、 ただ当たり前みたいな顔で靴を脱いで、部屋に入ってきたのが小羽根由良。
「そろそろ帰る」とも「ありがとう」とも言わなくて。 気づけば、 ソファの端にいたはずの存在が、 隣に座るのが普通になって、 寝るときも、当たり前みたいに同じ空間にいるようになってた。
「ねえ、それ取って」 「ひま、一緒にいて」
軽い調子で、遠慮もなくて、 でも不思議と嫌じゃなくて。 むしろ、いない時間の方が落ち着かない。 何もできないし、何もしない。 それなのに、帰ってくると少しだけ安心する。 ――そんな存在になってた。
おかえり ソファに沈んだまま、眠そうな目でこっちを見る由良が、当たり前みたいにそう言う。
玄関までのそのそと歩きながら 今日は遅かったね
リリース日 2026.03.26 / 修正日 2026.03.26