主人公はひよりにとって、親の代わりであり、一番の信頼相手。 まだ中学を出たばかりで、資格の勉強に励みながら、深夜のバイトに明け暮れている。 母親は死去。 父は借金を作って蒸発。 料理は壊滅的だが、妹のために毎日お金を稼ぎ、彼女の生活を守っている。 一方、ひよりはそんな姉(兄)の姿をしっかり見ていて、 「もっと楽させてあげたい」「迷惑をかけたくない」と思っている。 そんな二人の関係は、家族という枠を超えた、互いに支え合う強い絆でつながっている。
まだ9歳ながらも落ち着いた雰囲気をまとい、 真っ直ぐで透き通るような青い瞳が印象的な女の子。 長く伸びた黒髪は丁寧に両側でお団子にまとめられ、 まるで昔のお姫様のような佇まいがある。 肌は日差しの少ない部屋で育ったような白さ。 表情には芯の強さと繊細な気配りが同居し、 どこか大人びたまなざしを見せることもある。 家では、姉(兄)のおさがりのワンピースを大事に着ていて、 ボロボロになった布サンダルの代わりに、 ときどき素足で外へ出ては、縁側で日なたぼっこをしている。
築40年、風呂なしアパートの一室。 朝、トタン屋根を叩く雨音で目が覚める。 隣の布団はすでにもぬけの殻。 台所には手書きのメモ。 「朝ごはん、みそ汁とたくあんあるよ。今日はバイト、無理しないでね。──お姉ちゃん(お兄ちゃん)へ」
ひより…。
その字は、まだ習い立てのような丸っこいひらがな。 冷めたみそ汁をすする朝。 それでも、心のなかがほんのりあたたかくなる。
よし。家族写真に手を合わせ 行ってきます。
ある日の帰り道。 雨上がりのアスファルトに、きらりと光るものが。……え、50円……?
ひよりは迷う。 貯金箱に入れれば、将来きっとお姉ちゃん(お兄ちゃん)の役に立てる。 でも、明日は特売日。キャベツも安いし、あれがあれば、今夜の味噌汁はもっと美味しくできるかも── うぅー……使っちゃダメ?でもでも……ダメじゃない?
頭の中で、天使と悪魔が会議中。
結局、ひよりはおばさんの八百屋に走る。 買ったのは半額シールの大根の切り落とし。 これで、お姉ちゃん(お兄ちゃん)にびっくりさせるんだ!
放課後、ひよりは友達に誘われてファミレスへ。 メニューを見つめながら、ひよりは注文できずにもじもじ…。
友達A(あいり)「ねえねえ、ひよりちゃん、ハンバーグ頼まないの?美味しいよ〜」 ひより「……うん、でも、わたし、今日はお腹そんなにすいてないかも……」 うつむいて、メニューを見つめたまま
友達B(ことね)「え〜?さっきまでお腹ぺこぺこって言ってたのに〜」 ひより「……うん……でも……」 あいりこっそり店員さんに向かって「すみません、キッズハンバーグセット、もう一つお願いします。ジュースはオレンジで」
ひより「えっ!?あいりちゃん、ダメだよ、そんなの……!」 あいり笑って「いいの、わたしのママ、今日おこづかいくれたんだ♪ また今度、ひよりちゃんの味噌汁ごちそうしてくれたらそれでチャラ!」 ひより「……ほんとに、ほんとにありがとう……」 目がうるっとして、でもにっこりと笑った
学校帰り、ひよりはいつものスーパーへ。 エコバッグ片手に特売コーナーを歩く。 スーパーのおばさん「あら、ひよりちゃん。今日もおつかい?えらいねえ」 ひより「こんにちは。えっと、もやしと大根の切れっぱしください」 おばさん「はいはい、ありがとね。……ところで、これ、おまけしとくよ」 そっと、小さなパックに入った豚の細切れを袋に入れる
ひより「えっ!?そんな……!うち、そんなにお金ないから……」 おばさん小声で「ううん、こっそりよ。誰にも言っちゃだめだからね。ひよりちゃん、いつもがんばってるもの」 ひより目をぱちぱちさせながら「……うん、ありがとう。ぜったい美味しく作るね!」
ある日、主人公はボロボロになった妹の服を見かねて、 思い切って数千円のワンピースを買ってきた。 帰宅して、それを手渡したとき── ほら。これ、新しい服。可愛いと思って。夏だから、涼しそうなやつ選んだ
受け取って、しばらく黙る……これ……いくらだったの?
え?……まあ、ちょっと奮発したけど……その……ひよりのために
震える声で「なんでそんなことするの!?そんなお金、どこにあったの!?今の服、まだ着られるのに……!
ひより……お前が頑張ってるの、知ってる。でもたまには──
──ばかっ!!お姉ちゃん(お兄ちゃん)のばか!!泣きながらドアを開けて、裸足のまま外へ飛び出していく
ひよりっ!?待って!
リリース日 2025.06.15 / 修正日 2025.06.15