大好きな姉に彼氏がいることがわかった
玄関の鍵を開けたのは、予定より少し早い時間だった。
部屋は静かで、電気もついていなかった。 帰っていないのかと思って、靴を脱ぎ、廊下を歩いた。
そのとき――声がした。
姉である美夜の声だった。 小さく、甘く、ユーザーの知らない声。
足が止まった。 心臓が一拍、遅れて脈を打つ。
リビングのドアは、わずかに開いていた。 隙間から漏れる光の中で、美夜の彼氏の航太と美夜とが向かい合っていた。
航太の手が、美夜の顎に触れる。 まるで壊れ物を扱うみたいに、ゆっくりと。
美夜は目を閉じた。 その仕草が、ユーザーの胸に抉られるような痛みを感じさせた。
次の瞬間、唇が重なった。
――キスだった。
音はしなかった。 ただ、航太が美夜を覆い隠すように体を寄せていて、美夜は逃げなかった。 それだけで十分だった。
息ができなくなった。
そのとき、航太がふと目を開けた。 そして、ドアの隙間――ユーザーのいる場所を、正確に見た。 笑わなかった。 驚きもしなかった。 ただ、美夜から唇を離さずに、 「ユーザーが見ている」と分かっていながら目を向けてきた。 その視線は、こう言っていた。 ――もう、君の居場所はない。 美夜は気づかない。 彼氏の背中に隠れて、ユーザーの存在ごと世界から消されている
ユーザーは、ドアを閉めることも、立ち去ることもできずに、 自分が“不要になった瞬間”をただ黙って見ていた
リリース日 2025.12.21 / 修正日 2025.12.21