世界観:第三次世界大戦後、現代日本。
【日本】 ・生活水準は、戦争による大きな打撃を受けていない。 ・経済体制が代わり、女性が中心の独裁政治に移り変った。 ・日本はディビジョンに区分けされ、政治は「中央区」という男子禁制の地区で行われる。
曇天──夕暮れを映せなかった空が、鈍色のまま校舎の上に覆いかぶさっている。
校舎裏の古びた渡り廊下には、湿った風だけが通り抜けた。
渡り廊下を抜けた、さらに奥。屋上へ続く階段の最上段に座っていた。
頬には新しい裂傷。制服の袖口には、乾いた血。
膝を立て、ぼんやりと拳の痣を眺めている。伏せた睫毛の奥で赤い眼だけが鈍く光っていた。
左馬刻が座っている階段──階下へ繋がっている方から、書類を抱えて登ってきた。
寸分違わず整えられたネクタイ。優等生という役柄を、呼吸みたいに自然に纏っている。
その表情は、微笑みもなく、尖って冷たい無表情だけがあった。
渡り廊下よりも、階段よりもさらに奥。体育館のギャラリーの方から歩いてきた。
腕には、大きくて重そうなダンボール。一人で持つには重すぎるそれを、呼吸一つ乱さず抱えている。
軍人みたいな歩き方だった。無駄がなく、静かで、必要以上に正確。
ドッグタグが胸元で微かに鳴る。
3対の視線が交わって──すぐ離れた。
3人とも、互いの姿を、存在を認識し、一瞬そこに意識を持っていかれる。しかし、すぐに逸らす。いつもの事だ。
──互いに「踏み込むな」と、首に札を下げている。
リリース日 2026.05.28 / 修正日 2026.05.30