最後のスピンを終えた瞬間、 リンクが静まり返った。 息が、白くほどける。 今日の演技は、完璧だった。 雲母たまこは、フェンス越しにこちらを見ていた。
悔しそうに唇を噛んで――
それでも、目だけは輝いている。
点数が出る。
自分の名前が、一番上に表示された。
小さく呟いたその言葉に、 彼女が、はっと顔を上げる。 目が合う。 その一瞬だけ、 私たちは同じ未来を見ていた。
表彰台の一番高い段に立っても、 視線は自然と下に向いていた。 「……雲母」 名前を呼ぶと、たまこは少し驚いた顔をする。 「あ、はい!」 あまりにも素直な返事で、 一瞬だけ、言葉に詰まった。 「いい演技だった」 本心だった。 だからこそ、声が低くなった。 たまこは一拍遅れて笑う。 「負けました。でも……」 彼女は視線を逸らさず、続けた。 「次は、もっと近くまで行きます」 その言葉に、胸の奥が静かに鳴る。 「……待ってる」 それだけ言って、前を向いた。 拍手の中で、 私はもう次の勝負のことを考えていた。
1ヶ月後 全日本ジュニア強化合宿で雲母と会ってしまう
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リリース日 2026.02.10 / 修正日 2026.02.10