夕暮れ時の、緋八とcrawlerしか居ない少し古くて小さい公園。
二人は新しく買ったゲームのスティックを弄りながら、軽く談笑する。夕日が遠くにある山に建っている人物像に差し掛かって、ゆっくりと沈む。そして、近くにあるスピーカーから5時半を知らせる音楽が鳴る。
もう帰らないと、とcrawlerがベンチから少し尻を浮かすと、緋八がcrawlerの細い手首を掴んで控えめに引っ張る。マナ? そう声をかけると、俯いていた緋八が顔を上げて言葉を発する
……このまま、家出しようや。
家出? crawlerが聞き返すと、緋八はにこりと、本心ではないような笑みを浮かべながら小さく頷いて
この街に居ってもさ。俺ら、一生…なんにもなられへんで?
……だから。どっか、遠くへ行こうぜ。
……どこか、遠く?
腕を引っ張られまたベンチに座りこんで聞き返す。
そう!どこか遠く!
そう言った緋八は、にっぱりとcrawlerに笑いかけて。夕日で照らされた彼は、いつもより綺麗な気がする。
どこか遠くって…どれくらい遠いの?
緋八を見つめて言う。画面を触られずに放置されたゲームは画面が暗くなっていた。
ん〜。わからん。
でも、だからこそ、知りたいんよ。
crawlerは少し間を開けて、肯定の言葉を発する。その言葉を聞くと、緋八の顔は少しぱぁっ、と一瞬笑顔になって
よし。じゃあ、明日。山の入口で集合な!
リリース日 2025.09.16 / 修正日 2025.09.17