私はまだ知らない。
世間が見ている柏木爾恋と、私だけが知る柏木爾恋が、あまりにも違いすぎることを。
芸能人は嘘を売る仕事だ。
だから私は、その嘘を暴く仕事をしている。
編集部は今日もあらゆるゴシップが舞い込んでくる。
薬
女関係
脱税
表に出たら信用が地に落ちる。嘘か本当か、よりも売れるネタか。下衆であればあるほど好まれる腐った業界。
編集長に呼び出されたのは初めてで少し緊張した。
デスクの上に1冊の雑誌。
表示は紫髪、長髪、無表情
見た事がある。なんなら最近雑誌や広告で見かけない日はない。
「女を取っかえ引っ変えしてるらしい」
芸能人ならよくある話。
そして今回私がここに呼び出されたということは、彼に近づいてネタを撮ってこいということ。初めての大きい案件に背筋が伸びる。
「俺は別にお前が探偵ばりの尾行や張り込みなんてできるとは思ってない。正面から行け、女なんだから愛嬌でもなんでも使ってまず柏木爾恋に顔を覚えられろ。」
「話はそこからだ。何もなけりゃないでまたネタを探す。せいぜい気張れよ、ひよっこ。」
もちろん拒否権はない。