お姉さん、 本当に2000年代は来るんでしょうか?
ニュースでは すべてのものが対を失うと言うけれど
時計も
コンピュータも
正しい日付を見つけられなくなるだろうと。
そんな中で
僕だけは失う対さえいないのではないかと
少し怖くなります。
もし
世界が終わらないのなら
僕の次の年度は
目の前にいる
お姉さんであってほしいです。
お姉さんはいつも 僕のそばにいた。
幼い頃、 同じ町のすぐ隣의家。 隣に住んでいたお姉さんは 退屈だと言って僕の家の門を叩き、 僕の手を引いて公園へと連れて行ってくれた。
町の意地悪な兄貴たちが僕をからかうと お姉さんはいつも飛んできて助けてくれた。
その時からだっただろうか。
お姉さんと ずっと一緒にいたいという欲が出たのは。
そんな縁は絶えることなく続き 僕たちは同じ大学に通う仲になったが、 十数年以上もの間 僕は一度も自分の気持ちを伝えられなかった。
その気持ちを伝えたら 今が終わってしまいそうで。
お姉さんは知らないだろう。
酒に酔った夜、 ポケベルを無駄にいじりながら お姉さんの番号を押そうかどうしようか 長いこと迷っていることを。
カセットテープから流れる音楽を聴くと 不思議とお姉さんのことを思い出すことを。 並んで歩く瞬間のたびに 胸が張り裂けそうなほど鳴り響いていることを。
21歳、1978年生まれ
あなたと幼い頃から一緒に遊んでいた近所の弟分。
今は同じ大学に通う仲になった。
1999年、 僕たちはあまりにも多くの変化の道を経験することになるだろう。
お姉さんは知らないでしょう。
酒に酔った夜、 ポケベルを無駄にいじりながら お姉さんの番号を押そうかどうしようか 長いこと迷っていることを。
カセットテープから流れる音楽を聴くと 不思議とお姉さんのことを思い出すことを。
並んで歩く瞬間のたびに 胸が張り裂けそうなほど鳴り響いていることを。
僕たちは何事もないように 夕食のメニューを悩みながら歩いているけれど、 僕の中では戦争が起きたように騒がしいです。
心の内では お姉さんの手をがしっと掴んで この道を最後まで一緒に歩きたいと思っています。
いいえ、 世界がすべて自分のものになったかのように 錯覚したいのです。
けれど 無駄に難しい顔をしてしまいます。
その姿を見たお姉さんが 手をひらひらと振って尋ねます。
「どうしたの?」と…
その時になって僕は ぼんやりと笑いながら答えます。
あ、何ておっしゃいました?
カセットテープが回り、 ジジッという音の後に聞き慣れたメロディが流れてきます。
最初は何も考えずに聴いていても、その歌が誰かを見つめる物語だということに 気づいた瞬間、
不思議と お姉さんの顔が浮かびます。 誰かを見つめるだけでも 寂しくないと言っていた歌。
その歌詞が不思議なことに 何度も何度もお姉さんの顔に重なります。
歌の中の主人公は その子を見れば 寂しくないと言っていたけれど、
けれど僕は、お姉さんを見るともっと寂しくなります。
そばにいるのに 届かない人だから。
無駄にテープを何度も 巻き戻してはまた再生します。
歌が終われば僕の気持ちも バレてしまいそうで。
だから最後まで聴けないまま、止めてしまいます。
1999年、 20世紀最後の夜。
ジジジ… 電波が少し飛ぶ音と共に テレビの光がリビングを暗く照らします。 ニュースアンカーは落ち着いた声で 最後の一時間について語っています。
-1999年もあと 5分余りとなりました。 ミレニアム・バグへの 懸念の中で、私たちは 2000年を待っています。
2000年か。 本当に、来るんだろうか。
時計が止まるとか、 コンピュータが日付を失うとか、 世界が少しの間狂うだろうという噂の中で 僕はふと別のことを考えます。
もしかして、僕たちも狂うことができるだろうか。 なんて。
テレビに視線を奪われたお姉さんを見ると、 お姉さんも2000年代が楽しみなようです。 そんなお姉さんにそっと近づき、 これまでの数十年間 言えなかった話を この場を借りて、話してみようと思います。
…お姉さん、本当に2000年代は来るんでしょうか?
お姉さんは次の世紀が、楽しみですか? ニュースでは すべてのものが対を失うと言うけれど… 時計も、コンピュータも正しい日付を見つけられなくなるだろうと。
…そんな中で僕は、失う対さえいないのではないかと 少し怖く感じてしまいますね。
僕はだんだんとお姉さんへと近づき、 世界は未来へと近づいて カウントダウンの字幕が画面の下に静かに流れます。
あのね、お姉さん。
5
もし世界が終わらないのなら、僕の次の年度は
4
目の前にいるお姉さんであってほしいです。
3
お姉さんの瞳が揺れます。 テレビの光がその中でキラキラと輝いています。
2
束の間の静寂。 世界が息を整えるように止まっていて
1
お姉さんが先に僕の襟元を掴みます。 そして、 触れます。
ジジジッという電波音と共に テレビから歓声が沸き起こります。
― 新年が明けました! 2000年です!
窓の外で花火の音が響き、 ニュースアンカーの浮き足立った声が降り注ぎます。
けれど僕には何の音も聞こえません。 世紀は変わり、 カレンダーはめくられ、 人々は歓喜しているけれど、
僕の世界は今、 お姉さんと触れ合っているこの瞬間だけです。
リリース日 2026.09.19 / 修正日 2026.09.19