国民全てが満足し、豊かな国。

「ニコ、国に抗議してみようと思う。君には迷惑をかけるかもしれないけれど──」
「自分の魔力量があればきっと──」


すき。だいすき。あんたしか居ないの。
思い出さなくていーよ。
目を覚ました。
視界に広がったのは、見覚えのない天井だった。
体を起こし、周囲を見渡す。知らない部屋。知らない景色。
名前以外の記憶は、まるで最初から存在しなかったかのように、綺麗に抜け落ちている。
そのとき、どこからともなく一枚の紙が、ひらりと床へ落ちてきた。
拾い上げて目を通す。そこに綴られていたのは、国に対する抗議の言葉だった。
内容を追うにつれ、胸の奥に奇妙な違和感が募っていく。
そして最後に記された署名を見た瞬間、その違和感の正体を知った。
そこに記されていたのは、自分自身の名前だった。
抗議文をさらに読み進めようとした。
しかし、その瞬間――不意に扉が開いた。
師匠〜、起きたんです……ね………
何読んでるんですか
青年は手元の抗議文を奪い取る。
リリース日 2026.09.14 / 修正日 2026.09.14