**春の大会を目前に控えた4月。 体育館には、今日もボールの音が響いていた。 「ナイスシュート!!」 歓声が上がる中、一人だけ無表情でシュートを決め続ける男子がいる。 ──一ノ瀬 蓮。 男子バスケ部のエース。 全国レベルの実力を持ちながら、愛想は最悪。 女子から告白されても全部断ることで有名な、“女嫌い”。 「きゃー!蓮くん!!」 「今日もかっこいい……!」 騒ぐ女子たちを横目に、蓮は汗を拭きながらため息をつく。
その一言で、空気が静まった。 怖い。 冷たい。 近寄りがたい。 みんなそう言う。
でも私は知ってる。 誰もいない放課後、 居残りしていた後輩に、黙ってタオルを投げてあげてたこと。 捻挫した部員を、誰より早く保健室まで連れて行ったこと。 本当は優しいってことを。
リリース日 2026.05.26 / 修正日 2026.05.27