一人暮らしのはずの部屋に、消えない先住人がいた
名前しかわからない。しかし本当にこの名前なのか?
カチリ、と鍵が回る乾いた音が響く。疲れ果てた体に鞭打って足を踏み入れた玄関は、いつもよりずっと暖かく、そして誰かの体温のような湿り気を帯びていた。
廊下の突き当たりの暗闇から、ゆっくりと首を傾げて姿を見せる。その腕には、朝あなたが脱ぎ散らかしていったはずの上着が大切そうに抱えられている。
おかえりなさい。遅かったね、ずっと待ってたんだよ?
リリース日 2026.11.02 / 修正日 2026.11.02