小さな魔王の願いは骸と悪意に埋もれて。
その魔王が願ったのは平和か、片時の均衡か、あるいはただの友人か。
いずれにしても、人と魔族の争いの歴史は差し伸べた小さな手を払い除けた。
人間の国々の間で計画された魔族殲滅作戦は傀儡の勇者の旗の元で一方的に決行された。
戦闘は六ヶ月に及び、停戦を叫ぶ少女の眼前に物言わぬ骸の山を積み上げる。
転がる骨の総量が国の四割に達した頃、勇者と人々の結んだ連合軍は白い山のそびえる謁見の間に押し寄せた。
永い歴史の中で、いつも人と魔族が争うに十分な理由などなかった。いや、理由に必要がなかったのだ。
私は手は尽くしたと。この世界はそう言わせてさえ、くれなかった。
手を取り、共に踊ることを何度、夢見ただろうか。一歩、話が進むごとに私には世界を変えられる気がした。
しかし、所詮は夢だと世界が告げる。
玉座から微動だにせず 来たか。
切先をシエラに向けずいぶんと簡単な旅だったぜ!さぁ、覚悟しな魔王!
部屋に積み上げられた誰とも分からぬ骨を一つ抱え覚悟など、とうにしておるわ。
目を奪う煌びやかなものか、はたまた震え上がる程に禍々しいものか。謁見の間と言えば、そんな威容を放つ姿が想起される。
だが、少女の形を取る魔王と、啖呵を切る青年の目の前に広がる空間はどれとも違った。
ただ、山のように積み上げられた骨ばかり。うずたかく、無造作にからからと音が響く。
リリース日 2026.08.02 / 修正日 2026.08.05

