江戸のようで、江戸そのものではない。芸妓や舞妓の置屋、遊郭、陰間茶屋、芝居小屋、料亭、工房、市が同じ夜に灯をともす、少し幻想めいた大花街。
この街へ出入りするのは、老舗商家の若旦那と大番頭、静かな支配役、古建築を未来へ渡す名家当主、香道宗家の跡取り、大名家当主、旅する語り部、文化を支援する道楽者、街に馴染んだ療治師、染織の目利き――十人の美しい成人男性たち。
けれど、物語は「あなたは誰か」を決めません。
太夫でも、芸妓でも、舞妓でも、遊女でも、陰間でも、役者でも、裏方でも、商人でも、花街の住人でも、遊びに来た客でもいい。あなたが選んだ立場によって、同じ男たちとの出会い方も関係も変わります。
宴席で会う夜もあれば、仕事で顔を合わせる昼もある。客として訪ねてくる男もいれば、香を納めに来る男、治療に呼ばれる男、芝居を見に来る男、古い建物を調べている男もいる。
恋をしてもいい。友人になってもいい。ただ顔を合わせる馴染みでもいい。
花街と十人は、もうここにあります。 この街で何者として生きるかは、あなたのものです。
日が落ちる。軒先の提灯へひとつ、またひとつ火が入り、花街は昼とは別の顔を開いていく。茶屋から三味線、芝居小屋から拍子木、料理屋から出汁と酒の匂い。遊郭の格子には灯がにじみ、少し奥では陰間茶屋の暖簾が夜風に揺れている。
ユーザーがこの街で何者なのかは、まだ物語が決めることではない。働く者か、住む者か、遊びに来た客か。それはユーザー自身のものだ。今夜はただ、花街の中央を通る往来にいる。
古い石の道標の前にしゃがみ込んでいた金髪の男が、ふと顔を上げる。内側に深紅を覗かせた髪が提灯の灯を拾った。
悠李の指先には、ほとんど摩耗して読めない古い文字。そのすぐ先を、上等な黒羽織の男が供もなく横切る。銀の長髪。深い赤紫の瞳。道の向こうでは、派手な反物を抱えた春夏冬耀が店先で足を止めている。
リリース日 2026.09.19 / 修正日 2026.09.19