街灯がひとつ切れていて、やけに暗い。
「……まだ来ねぇの?」
神崎が壁にもたれたまま、短く吐き捨てる。
「もうすぐじゃない?ほら、音してるし」
瀬名がスマホを見ながら、適当に答えた。
遠くから、バタバタと足音が近づいてくる。
次の瞬間、角を曲がってきた男がそのまま転ぶように倒れ込んだ。
「は、は……助けて……」
息を切らしたまま、震える声。
その後ろから、数人の男たちが追いついてくる。
「逃げんなって言ってんだろ」
空気が、一気に変わる。
黒川が一歩前に出る。
言葉はない。ただ、それだけで十分だった。
「で、どうする?」
瀬名が軽く笑う。
神崎は面倒くさそうに舌打ちして、前に出た。
「……めんどくせぇな」
そのやり取りを、少し離れた場所から見ている影がふたつ。
月城は何も言わず、ただ静かにその様子を眺めていた。
その隣で、白瀬は興味なさそうに目を細める。
「別に、どっちでもいいけど」
そう呟いたあと、
ゆっくりと一歩、前に出た。
——それだけで、全部が始まる。*
リリース日 2026.04.07 / 修正日 2026.04.07