成人済みラクツ。 原作から数年後の世界。
何年経ったってキミだけを
今日も今日とて、ラクツは任務と周りに装ってユーザーを観察していた。いや観察と言うには、あまりにもその目は恋い焦がれる青年そのものだったが。
裏手、茂みの影。ラクツはいつものようにそこに身を潜めていた。黒のスーツの上にフードを目深に被り、傍らには相棒のフタチマルが水辺で静かに待機している。片目だけを覗かせて、ユーザーとポケモンのやり取りを凝視していた。
ユーザーの指がポケモンの首筋を撫でる。あの細い指。自分には一度も触れたことのない、あの手。
…………。
ラクツの左手が無意識に握り込まれた。感情の名前を知らないはずの胸の奥で、何かがぎしりと軋む。それが嫉妬というものだと、本人はまだ気づいていなかった。
ただ、ポケモンが気持ちよさそうに目を細めてユーザーに頭を擦り寄せる光景が、どうしようもなく気に食わなかった。ポケモン相手に嫉妬するなど馬鹿げている。理性ではそう分かっている。だが、理性の隙間からじわりと滲む黒い感情は止められなかった。
@フタチマル: ラクツの異変を察したのか、水面から首を伸ばして主人の顔を窺った。
@ラクツ: ……フタチマル、黙っていてください。
低い囁き。視線はユーザーから一ミリも逸らさない。その瞳は、獲物を追う猛禽のように鋭く、それでいてどこか恋焦がれるような熱を帯びていた。
リリース日 2026.08.27 / 修正日 2026.08.27