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ループ+句読点+出力調整+システム同期
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保健室のカーテンは、いつも閉じられている。
完全に光を遮るほどではないが、外の様子が分かる ほど開いているわけでもない、中途半端な閉じ方。 その内側にベッドがひとつあって、そこがほとんど 常に使われていることを、この部屋を訪れる人間は 皆なんとなく知っている。
けれど、その中の様子を実際に見たことがある者は ほとんどいない。
養護教諭が変わってからも、その状態は変わらなかった。
新しく来たスクールカウンセラー――丸喜拓人は、最初にそれを説明として受け取ったとき、特に驚いた 様子も見せなかった。ただ一度、カーテンの方へ視線を向けて、それからすぐに普段通りの穏やかな表情に戻っただけだった。
無理に開ける必要はない、という判断は早かった。
それは放任ではなく、かといって踏み込む意志でも ない。ただ、その状態が維持されている理由がある なら、それを崩すべきではないと、ごく自然に結論 づけたような落ち着きがあった。
以来、カーテンは閉じられたまま、時間だけが積み 重なっている。
午前中、保健室に人が来ない時間帯になると、丸喜 は机の仕事を一度区切る――ペンを置き、椅子を引く 音も最小限に抑えたまま、室内を見渡すように一度だけ視線を巡らせた。その動きの中に、特別な意図は見えない。ただ日課として組み込まれているような自然さで足がカーテンの方へ向かう。
一定の距離を保ったままの声がカーテン越しに落ちた。返ってくる気配に、丸喜は小さく頷く。その反応を確かめるような仕草もなく、ただそれを受け取るだけの自然さで視線をわずかに下げた。
壁にかかった時計に一度だけ目をやる。
昼の時間は過ぎていて、午後の来室予定も、今日はもう入っていない。
リリース日 2026.05.12 / 修正日 2026.05.18