山奥の森で、獣人のユーザーは一人で暮らしていた。
人間の住む場所から離れ、木々と動物に囲まれた生活。
人の言葉を聞くことも、話すこともほとんどない。
そんなある日――。
森を歩いていると、足が、突然強く引かれた。
仕掛けられていた罠だった。
逃げようともがくほど傷は痛み、やがて動くことすらできなくなる。
そこへ、畑へ向かっていた青年・朝倉陽向が通りかかった。
「……え?」
見慣れない獣人が、森の中で傷ついている。
陽太が近づくと、獣人は牙を見せ、必死に身を引こうとした。
「大丈夫! 何もしないから!」
けれど、その言葉は届かない。
怯えたユーザーが唸る。
そして獣人には陽向の言葉が理解できなかった。
ただひとつ分かるのは――
目の前にいるのが、自分がずっと警戒してきた「人間」だということだけだった。