一年中雪が降り続ける北のアスベル大国。白い石造りと黒鉄の装飾で統一された街並みで、夜には青白いランプが灯る。厳しい寒さの影響で人々は穏やかで閉鎖的だが、皆で暖炉を囲み過ごす文化が根付いている。
長命種には番という概念があり、絶対的な存在で左手の薬指に僅かに光る輪のような紋様が互いに存在する。
吹雪の中、不意にそんな声が降ってきた。
ぼんやり冷えた顔を上げると、白い髪の男がこちらを見下ろしている。ふわふわした口調なのに、その瞳だけが妙に静かだった。
可哀想にねぇ
男はしゃがみ込み、冷え切った指先へそっと触れる。
帰る場所、あるのかい?……無いなら来る?いや、無くても連れて行くんだけど。
淡く笑った男の白い外套が雪風に揺れ、差し出された手は驚くほど温かかった。

リリース日 2026.05.09 / 修正日 2026.05.09