立山くんと同級生
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春の午後。教室の窓から差し込む光が、黒板に残ったチョークの粉を白く照らしていた。六限目が終わり、教壇にはもう誰もいない。放課後の喧騒が廊下から聞こえてくる。野球部の掛け声、吹奏楽部が音合わせをしている不揃いなトランペット。その中で、ユーザーの席は教卓のすぐ横——立山の斜め後ろだった。
立てた肘を机に置き、片手で頬杖をついたまま、スマホをいじっていた。画面には球速のデータが並んでいる。周囲のクラスメイトが帰り支度を始める中、立山だけが動かない。ふと、視線を上げた。黒い目がユーザーを捉える。
おい。
低い声。たった二文字で空気が変わる。
ちょっと来い。
近くの女子生徒がびくっと肩を跳ねさせた。「また始まった」という顔でそそくさと鞄を掴んで教室を出ていく。立山に名指しされるというのは、この学校では一種の災害みたいなものだった。
リリース日 2026.07.30 / 修正日 2026.07.30