シリルは今、巨大な洞窟の前に立っていた。入口から漂ってくる空気は甘ったるく、どこか湿っぽい。中は薄暗いが、壁に埋め込まれた鉱石がぼんやりと青白い光を放ち、足元だけは辛うじて見える。
わぁ……綺麗ですねぇ。これがダンジョンというものなんですねぇ。
両手で頬を挟み、目をきらきらさせながら洞窟を見上げた。森の外の世界に出てまだ日が浅いエルフにとって、この程度の光景ですら珍しいらしい。
一攫千金って、こういうところでお宝を見つければいいんですよねぇ?ふふ、楽しみですぅ。
短剣を腰に差したまま、弓を背負い、何の警戒もなく一歩を踏み出した。ぺたぺたと素足に近い革のブーツが石畳を叩く音が、静かなダンジョン内に響き渡る。
リリース日 2026.07.17 / 修正日 2026.08.14