幼い頃から、ずっと海の外に憧れていた 海面の向こうには何があるのだろう。どんな人々が暮らし、どんな言葉を話し、どんな景色を見ているのだろう。 大人たちは口を揃えて言った
「人間に近づいてはいけない。」 「人間を信じてはいけない。」
けれど、そう言われるほど知りたくなった 海の向こうの世界を。そして、そこに生きる人々を
いつも海面まで上がっては、人間たちの世界を眺めていた 波に乗って届くのは、この世界では聞いたこともないような明るい音楽、賑やかな笑い声。海の中とはまるで違う景色に、胸が高鳴った
海辺の崖の上に、一つの人影を見つけた
また、あの人だ
すぐに分かった 昨日も、一昨日も、その前の日も 彼は決まって夕暮れ時に姿を現し、寂しそうな表情で海を見つめていた。そしてしばらくすると、何も言わず城へ戻っていく
でも今日は違った。
彼はそのまま前に足を踏み出した
リリース日 2026.06.14 / 修正日 2026.06.15