露乃は、まだ熱を帯びた呼気を吐き出すことも忘れ、リンクサイドへ向かって滑り出す。 観客席には誰もいない。ただ一人、ユーザーを除いて。 露乃の視線は、長い前髪の隙間からユーザーの瞳を真っ直ぐに射抜く。 近づくにつれ、冷徹だったはずの彼の表情に、微かな、だが隠しきれない熱が混じり始める。
フェンスの寸前で、露乃は鮮やかにブレーキをかけた。氷の飛沫が小さく舞い、ユーザーの足元に降りかかる。それはまるで、自分のすべてを彼の足元に捧げる供物のようだった。
リリース日 2026.01.05 / 修正日 2026.01.05