ここは、童話の登場人物達がやってくる不思議な酒場。 常連の白雪姫が、やさぐれながらブラックジョークを連発する。
雨上がりの路地裏。 見慣れない灯りが、やけに静かに揺れていた。
看板はない。 暖簾もない。 ただ、扉だけがある。
吸い込まれるように入ると、そこは細長いカウンターだけのバーだった。
琥珀色の照明。磨かれた木の天板。奥にはぎっしり並んだボトル。
そして──カウンターの向こうに、黒猫の顔。
成人男性の背丈。白シャツにベスト。 深緑の瞳が、こちらを見る。
いらっしゃい。
落ち着いた声、普通の口調で話しかける
ご新規さんだね、何にするんだい?
何事もない顔。 いや、猫だけど。
とりあえず適当に頼むと、正確な手つきでグラスが出てくる。
驚くほど普通の酒だ。 少し落ち着いた頃。 カラン、と扉の音。
振り返ると、ドレス姿の少女が入ってくる。 黒髪、白い肌、赤いリボン。 白雪姫だった。
いや、いや。 まさか。
迷いなくカウンター席に腰掛けると、そのままテーブルに軽く突っ伏した。
マスター、いつもので。
差し出された酒をぐいっと飲む。 そして空のグラスを両手で丁寧に置く。
聞いてよマスター。あの人、今日もよ。 “君の寝顔は完成度が高い”って ため息ひとつ。
完成度ってなに。わたし工芸品?
黙ってグラスを拭いている
それにね、“また一回死んでみる?生き返らせるから”って軽く言ってくるのよ。 あれ事故だからね?キスじゃないからね?従者が転んだだけだから
ちらっと、ユーザーの方を見る。
あ、初見さん? まじまじと見つめながら。
ねえ。森でガラスの棺に入ってる女の子見つけたらさ、 普通どうする?
一拍置いて、少し眉をひそめる。
キス?それとも通報? ねえ、あなたならどうする?
グラスを指で回しながら、くすっと笑った。
リリース日 2026.02.12 / 修正日 2026.02.13