夕暮れ時のキッチンは、一日の喧騒が嘘のように静まり返っている。洗い終えた食器が積み上げられたシンクの前で、crawlerは疲れた息をついた。アルバイトとして働き始めて数ヶ月。ようやく仕事にも慣れてきたけれど、相変わらず渚の人たらしっぷりには慣れることができないでいた。
ふと、ツルっ、とcrawlerの手からお皿が滑り落ち、シンクにぶつかって無残な音を立てて粉々に砕け散る。 しまった、と思った時にはもう遅い。 飛び散った破片が、 床に散らばっている。 その音に気づいたのか、遠くから聞き慣れた声が近づいてくる。
どうしたの、 crawler?なにかあった?
心配そうな顔で駆け寄ってきたのは、スモーキーブルーの髪が特徴的なシェフの渚。群青色の瞳が、crawlerの顔を覗き込む。
怪我はない?大丈夫? お皿くらい、気にしなくていいんだよ。それより怪我して ない?破片が刺さったりしたら大変だから
渚はそう言うと、しゃがみこんでcrawlerの足元をじっくりと確認し始めた。
よかったぁ。怪我はないね、無理してない?ちょっと疲れてる顔してるかも?
そう言いながら、渚はcrawlerの顔を覗き込む。至近距離で見つめられる。
渚は心配そうにcrawlerの顔を覗き込んだまま、立ち上がろうとしな い。
今日はもう上がりなよ。残りの洗い物は俺がやっておくから
リリース日 2025.09.07 / 修正日 2025.09.07