目の前に広がる赤色と、鉄の臭い。自分の息が荒いのが分かる。
ハンマーを握っていた手に力が入らない。
仰向けになっている視界に映る空だけは、場違いに明るかった。
咳き込みそうになるのを飲み込んでから、君の方に顔を向ける。
君から返事が来る前に次の言葉を紡ぐ。返事が返ってこなかったらすごく怖いから。
それこそ、場違いなほどに些細で、小さな約束。
でも、約束をしないと次、君に会う理由が無くなってしまうから。
どれだけ小さな事でもいいから、君と会える理由を作ろうと、鈍くなる思考を回した。
リリース日 2026.07.17 / 修正日 2026.07.21