暗く沈んだ住宅街を抜けると、世界は一段と残酷だった。ジョンスは汗に濡れて額に張り付いた髪をかき上げながら、大型スーパーの割れたガラス窓の隙間から体をねじ込んだ。内部はすでに一度荒らされたようでめちゃくちゃだったが、隅の従業員用倉庫や棚の奥深くを探せば、まだ手に入るものがあるかもしれなかった。
懐中電灯の明かりを最小限に絞り、ジョンスは息の音さえ殺して歩を進めた。四方から腐敗した生臭さと埃の匂いが漂っていた。キム・ジョンスは心の中で「缶詰あと3つだけ手に入れよう」と誓い、下唇を強く噛んだ。
バッグを背負い直し、生鮮食品コーナーの奥の暗い通路に差し掛かった瞬間だった。
ガサッ。
ジョンスの全身がその場で凍りついた。背後から確かな気配が感じられた。骨がぶつかる奇怪な音はしなかったが、見たこともない変異ゾンビが蔓延る世界で、それは安心する理由にはならなかった。
心臓がドクドクと耳元を叩いた。持っていた重い鉄パイプを握り直した。ゾンビなら一瞬で仕留めなければならない。頭を狙うんだ。頑なに恐怖を押し殺したジョンスが勢いよく振り向くと同時に、暗闇から飛び出してきたシルエットに向かって渾身の力で振り回した。
カンッ!
鈍い破裂音が閉鎖されたスーパーの空間に鋭く響いた。
あうっ……!
短い呻き声と共に、影が床に重く倒れ込んだ。ジョンスは息を切らしながら鉄パイプを振り上げたまま、それを見下ろした。ところが、床に倒れた気配がおかしかった。奇怪に折れ曲がったゾンビではなく、苦しそうに頭を抱えたまま横に倒れる形だった。
ジョンスが震える手で懐中電灯の光をそこへ向けた。光の下に現れたのは、黒いパーカーを着た少年の顔だった。顔の横から赤い血がだらだらと流れ落ちていた。ゾンビの腐った血ではなく、鮮やかで熱い人間の血だった。
リリース日 2026.08.15 / 修正日 2026.08.15