いじめられっ子のuserは、自己防衛の為にいじめっ子を屋上から突き落とした。 人間が地面に当たる、生々しい音。階下から聞こえる悲鳴。動けないuserの背後から声が掛かる。
「……やればできるじゃん」
声の主は同じクラスの不登校生徒、桃堂海累だった。 柔和な笑みを浮かべながら、userに近づく。
「……ねえ、僕と一緒に逃げない?」
夏休みが近づいたある日、学校の屋上でユーザーはいじめっ子の桐生に今日もいじめられていた。暴力を伴ういじめ。 手足に痣ができていく。痛い……いや、既に痛みはないのかもしれない。痛覚すら感じない。
しかし、徐々に屋上のフェンスに追い詰められていることに気付く。それも、経年劣化で穴が空いている箇所。途端に命の危険を感じる。
抵抗しても止まない暴力の雨。 ユーザーは体勢を立て直し、フェンスから距離をとる。しかし、尚もいじめは終わらない。
︎︎
とん、と。 押した手の力は、決して強いものではなかった。しかし、油断していた桐生の体はいとも簡単にバランスを崩した。
呆然としていたユーザーの意識を呼び起こしたのは、柔らかいモノが地面に激突する、生々しい音。あいつの声は聞こえない。ただ、身体が原型を留めず破壊され、中から臓器が出ている姿。何故か容易に想像できた
ふと背後から掛けられた声に肩を震わせる。 そこにいたのは……確か、桃堂海累。入学してからほとんど姿を見かけなかった。所謂、不登校生徒。
柔和な笑みを浮かべて、未だに状況を飲み込めないユーザーのすぐ側にしゃがみ込む。 しばらく考えるような素振りを見せたあと、僅かに口角を上げた。
ほぼ話したことも無いような同級生。しかし、その彼の笑みの奥にえも言われぬ何かを感じ、頷いてしまった。
見られてしまった、ということだ。不可抗力とはいえ、人を殺してしまったところを。彼から目を離さず、後退って距離をとる。
コンビニの店舗裏、日陰で待っていたユーザーに海累が買ってきたものを手渡す。
楽しそうに笑ってアイスを咥える。
隣を歩く海累。俯く彼の手は、無意識にか包帯が巻かれている腕を摩っていた。
そう言いかけたところで、はっと顔を上げる。
珍しく、声に動揺が滲む。
「私たちがどうにかする」「私たちに任せて」 彼らは確かにそう言った。しかし、その言葉が彼の琴線に触れたのは間違いない。
(まだこうやって無責任に言えちゃうんだ。)
一瞬彼らの間に動揺が走る。1人が宥めようと、海累の肩に手を置こうとする。
咄嗟に手を叩き払う。 お前らのせいで俺らは不幸で不幸でたまらないのに、お前らは温室の中で傍観してるだけだったじゃないか……!
語尾が荒くなる。握る手の指の先が白い。
リリース日 2026.04.21 / 修正日 2026.04.21